内的家族療法を使った心理セラピー

 

☆☆☆内的家族システム療法についてのお話

 

内的家族システム(Internal Family Systems Model:IFS)とは、アメリカのリチャード・シュワルツ氏が体系立てた、実践的な心理療法です。


トラウマ治療をはじめ幅広い分野で応用され、30年以上の歴史があり、現在世界中に広まっています。

マインドフルなあり方を促し、「Self(セルフ)」と呼ばれる「大いなる自己」に目覚めることを促します。

 

☆☆☆ 私たちはパーツの集合体

 

IFSでは、私たちの心は多数の副人格(パーツ)の集合体である、と捉えています。

 

あなたは、自分の中に対立した思いを抱え、葛藤したことはないでしょうか?

 

たとえば

 

・ダイエットのために食事量を減らそうと思っているのに、ついつい食べすぎてしまう

 

・会社をやめて好きなことで独立したいけど、食べていけるか不安で、なかなか実行できない

 


このような葛藤は、私たちの中にいる人格=パーツたちが、それぞれに異なる意見や感情や欲求を持っているために、起きているのです。

 

IFSでは、私たちの「内側」でこのようなたくさんのパーツが相互に関係しあい、まるで「家族」のような「システム」を形成している、と考えています。

(そのため、「内的」「家族」「システム」と名づけられました)

 

IFSでは、徹底的に、私たちの中にいる「小さな人たち」=パーツに気づき、それらと対話することで自己理解を深め、自分自身を癒し、システムの調和を促し、それによる問題の解決や願望実現などを目指していきます。

 

☆☆☆どんなパーツたちがいるの?

 

私達の中のパーツ(副人格)たちは、様々な感情を抱え、それに突き動かされています。ただそれが極端で現状にそぐわないと、本人にも止められない困った行動や衝動に繋がってしまいます。

 

私達にとって、感情は必要なものですが、上手に付き合っていくことで、私達が心穏やかに生きていくことができる様になると思います。 

特に恨みや怒りの感情、罪悪感、被害者意識などは自分のことも傷つけます。

年を取っていつまでも過去に起こったネガティブな感情を持ち続けてしまうと、幸せな老後でなくなるかもしれません。 


年齢がいっていろんなことが解らなくなっても、亡くなって身体が無くなっても、そういう感情だけを握りしめていると、ご自身も周りもとても苦しいことになってしまいます。


☆☆☆パーツ達の人生劇場

 

私達は、過去生も含めてこれまで様々な事件や問題をかかえていて、とても影響を受けていますが、それらはある意味全部ストーリーなのです。

ストーリーは物語。私たちがその物語の中の役になりきって劇をしているようなものです。

実は本当の私たちは客席に座っているのですが、未だに心の中で劇は続いています。


今までの良いことも悪いことも、たくさんの出来事を反芻して楽しんだり苦しんでいても、もうすでに今は過去の物語となっているのです。

 


既に終わったことだからこそ、実はそのストーリーを全部回収することができます。


苦しかったこと、楽しかったこと、でもそれも全部ストーリーなんだと気がついて、もう自分には必要ないと手放した時、新たな人生が始まるかもしれません。


自分を留め、影響を与え続けている感情に気づいて手放してしまうのが、次のステージへへ行く秘訣です。

 

お店や駅などで突然怒り出す老人、学校でのモンスターペアレンツ、病院ではモンスターペイシェンツなど、問題行動を起こす人も多くなりました。

何かがその人の中でくすぶっているから、ちょっとしたきっかけで怒りや文句が出てしまう、その人の中の癒されない感情がくすぶっているのです。


楽しいことも執着になりますので、苦しかったことや悲しかったことと同じです。


きちんと気づいてあげて距離を取る、そうしたらそれを客観的に一つのストーリーとして持っていることは苦しくなくなるのではないでしょうか。


ですから捨ててしまうのではなく、客観的に見ることが出来、最後には成長の証と思えるようになれば、充分に癒されているのだと思います。


☆☆☆様々な人格をパーツとしてみてみると

 

最近はパーツたちが別人格となって、勝手に行動する様なドラマが多く見られます。

極端な例では本当の自分は内側に隠れていて、自分の中の別人格が主に社会生活をしているということも起こります。(解離性同一性障害)

 

一人のはずの人間の中で、成長途中に別の人格が生まれてしまうこともあります。

虐待(性的、物理的、精神的)や、ネグレクトなどで子供の精神が耐えられなくなった時、別人格が苦しくてつらい部分を背負い、表に現れて主人格をかばうような状態です。

その場合、主人格は記憶をなくしていることも多いそうで、NHK Eテレなどで特集が組まれたこともあります。

 

映画『Mother マザー』を始め、『万引き家族』など、毒母や虐待、ネグレクトに関する問題点は様々なドラマや映画でも取り上げられてきました。

外国映画では『ジョーカー』やエルトンジョンの自伝的映画『ロケットマン』など、子供の頃の家庭の状況は、やがて成長後の様々な精神的、肉体的問題や病気の引き金になります。

 

そのようにその人の成長後の人生に大きな影響を与える事も少なくないのです。

小さい頃の虐待や孤独感、悲しみなどではなくても、私たちが成長し人格を形成していくうえで、様々な感情を押し込めたり蓋をしたりすることは誰にでも起きてきます。

 

お酒を飲むと豹変する人や、車に乗ると人が変わる人も結構います。

この人たちも二重人格などと言われますが、本人の意識は途切れることなく続いていることがほとんどです。

それでは車を運転するときにいつもは穏やかな人が急に乱暴になったり、遅い車をあおったり口汚くののしったり…(度を超すとあおり運転ですから気を付けましょう)賭け事やお酒を飲むと人が変わったようになったりする。

そういう人には何が起こっているのでしょう。

日ごろのストレス発散でしょうか。

 

普段から危険な行動をしたり攻撃的な性格の人ならなんとなくわかりますが、もし普段の行動や考えが穏やかで、車に乗ると急に人が変わる場合等は、もしかしたらそれは自分の中の隠れた人格が顔を出す瞬間なのかもしれません。


☆☆☆私たちは常に多重なパーツと共に生きています

 

ドラマや映画のように人格が全く入れ替わってしまう場合や、本人の意識が肉体から離れてしまうようなことがなくても、私たちは実は多重な存在なのです。

ドラマのようにわかりやすく人が変わることはまれですが、まるで二人羽織のように、別の人格が重なって主導権を握るなんてことは実は日常茶飯事です。

 

見方をちょっと変えると、私たちは沢山の人格から構成されているとも言えます。

上手に二人羽織されているので、気がつかないだけなのかもしれません。

 

思いがけず、自分が意識していない別人格が出てしまうことは、案外日常的に起こっているのではないかなと思います。

 

☆☆☆ここからはあるセラピーの体験のお話です☆☆☆

 

それではこれから、内的家族療法(インナーファミリーシステム=IFS)のセッションの体験談をお話しましょう。

 

私は、精神世界という言葉がメジャーになる前から、とても生きづらかった為様々なセラピーを受け、本を読み漁ってきました。

退行催眠をはじめ、様々なワークで、インナーチャイルドは結構癒やしてきたつもりだったのです。


ところがIFS=内的家族療法を受けて、すっかり忘れていた子が現れました。

 

出てきてくれたのは、とても馴染みのある子でした。

その子は4〜5歳の女の子で、いつも一人でチョークで地面に絵を描いたり、積み木で遊んでいました。まだ小学校に入る前の私です。

 

2歳上の姉は既に小学校に通っていて、学校の話を毎日楽しそうに私にしてくれていました。

私は週に何回か、遠くの幼稚園まで母と歩いて通っていた記憶があります。


とっくの昔に、その子の悲しみや痛みは私自身が深く深く心の底に封印していたものです。

 

子供の頃は周りからいつも泣き虫と言われていました。

なにかが起こる起こらないに関わらず、喋ろうとするといつも感情が高ぶってしまい、まず涙が出ていました。

すると、自分の意見や言葉を言おうとして頑張るのですが、涙の量が多すぎて喋れなくなってしまう。

そうしている間に相手(ほぼ親です)は、たたみかけるように質問をし、答えられない私に呆れてその場を去るか怒る。

このパターンがずいぶん続いていたような気がします。

 

母は三人の子育てやパート仕事で忙しかったので、私の話をゆっくり聞いてもらうことができなかったという記憶はあります。

それでも家で理不尽な怒られ方をしたことは覚えておりませんので、特に母との関係に問題は感じていませんでした。

父とは少々感情の行き違いはあったかもしれません。(これも癒していきました)

 

言いたいことが言えずに、声がうわずって涙が出てしまう。

そうするとそれが嫌でもっと悲しくなり、涙で喋れなくなります。遂に最後はしゃくりあげてしまうという状態が続いていました。

 

親もそんな私を相手にしている時間がなく、そのままほったらかしにされて、伝えたいことは何も伝わっていない状態になります。

するとますます自己嫌悪に陥り、自分の意思を表現できないまま、それを押し殺してしまうという、これまた悪循環に陥っていました。

多分小学校の低学年ぐらいまで何度もそういうことがあったのでしょう。

 

小学校4年生の時引っ越しをして、田舎の学校に移ってからはその記憶はありません。

だから一旦その時期までにこの状態は封印されてしまい、今まで出てこなかったのでしょう。

忘れたことになっていたのです。

 

ですから、その子が癒されないまま、私の中にいたという事実には納得です。

同時にその子を見つけてくれて本当に感謝しているという思いが溢れました。

 

この子は、私が受けた内的家族療法のセッションに出てきたインナーチャイルドでした。

そのインナーチャイルドは出てきてさえくれれば、癒すことも簡単にできたので、すぐにその子は元気になり、現在の私と共に一緒に1週間ほど過ごすことになりました。

セッションで癒やされていたので、私と過ごす時にはすっかり元気になって家中を走り回ったり(イメージの中で)一緒に旅行をしたりしていました。

 

私自身はとても安定していて元気な状態でした。それは深い記憶の底、人生の最初の時期でしたので、セッション後はすっかりその子のことは忘れていました。

けれども思いがけず瞑想で出てきたり、時々その子が旅行先でコロコロとでんぐり返しをし走り回るイメージが湧いてきたので、やはり一緒にいるんだなと感じていました。

 

☆☆インナーチャイルドを守るパーツたち


なぜその子(インナーチャイルド)は隠れていたんでしょうか。

インナーチャイルドは、どうしてそのままの姿でそこにいたんでしょう。


私たちは生まれてくる前から、例えば胎児の時であっても魂はすべてが解っています。

ある時から、胎児の肉体は魂と一体になり、母体の中でも赤ちゃんが傷つくような言葉や考え、親の行動があれば、その時胎児の心は傷つくことがあると考えてください。

その傷ついた子はその時のまま、傷ついた人格(インナーチャイルド)として存在していることがよくあります。


そうやって、1つの傷ついた人格(パーツとも呼びます)が私たちの内的なシステムのなかで生まれます。(正確には元々のその子は元気な子だったのかもしれません)でも、いまやその子は歳をとらないまま傷ついた状態で存在し続けます。

 

私達の心の中、人格たちによる内的システムは、本当によくできていて、内的家族っていうぐらいですから、家族みたいなものなのです。

 

例えば私の泣き虫のパーツ=インナーチャイルドを中心に周りに何人か兄弟姉妹がいて、彼らが協力してその子を守っているとしましょう。

 

インナーチャイルドのすぐ上の子はその子が傷つかないように身体で覆って、周りから見えないように隠してくれているかもしれません。

また別の兄弟はその子に注意が向かないように、おどけて周囲の目を自分に引きつけようとしているかもしれないのです。

 

あるいは別の兄弟は、もう少し大人の考え方をしていて、傷ついた部分を刺激して泣かないように、感情を見せないように、頑張って生きていこうとする子かもしれない。

あるいは社会で生きていくために、たくさんのマニュアルを読んで、それに従って人間関係を無難に過ごそうとしているかもしれません。

 

もしかしたら、その中にはその子を世の中に出したら大変なことになるから、絶対にその子を守らなければいけないとみんなに言い聞かせている子もいるかもしれませんし、そんな子に対しては悪態をついたり、不満を漏らしたりする子もいることでしょう。


いずれにしろ、その子一人のためにたくさんの兄弟がチームになって、その子がもう傷つかないように、もう苦しまないように、誰の目にもさらされないように守っている。

そんな状態が作られてしまっている可能性があります。すごいですね、チーム戦です。

 

そして時には、そのインナーチャイルドがあまりにも傷ついて苦しんでいる場合、兄弟の1人が身を呈して別人格として表に出てすべてを受け止め、全く正反対の人物を演じることもあるでしょう。

 

その内容はとても複雑なので、説明するのは難しいと思いますし、個人個人の成り立ちや策略が違うので、その仕組みや働きは千差万別です。

 

☆☆☆インナーチャイルドを守っていた私のパーツ

 

さて、私の話に戻りましょう。


その泣き虫の私、5歳のインナーチャイルドを守るために、私の内的システムではいくつもの人格(パーツ)たちがチームを組んで動いていました。

 

一番メインで働いていた人格(パーツ)は、なるべく感情を感じないようにして、感情を感じていても表現しないようにしていました。

 

きっちりと感情や行動の管理をしているような女性です。

私の中のイメージでは、スーツを着てパソコンを持って、外資企業で働くビジネスパーソンのような冷たい印象を持っている人でした。

 

その人は、常日頃から私とほとんど同化していて、私そのもののような顔をして生活しています。

ほぼニ人羽織状態です。

 

だから普段は全く気がつかないのです。

でも、この人がいるからこそ、私はこの社会で何とか生活できるし、自分がダメダメなところを周りに思いっきり見せることもなく、すごい自己嫌悪に陥る前に何とかしてくれる、とても有能な秘書さんのような感じです。

 

他には起こったことをうやむやにしようとするような役割を持っている人格(パーツ)や、傷ついた子供を体を張って隠そうとするパーツ、批判をするパーツや、何とか頭で考えて理論で解決しようとするパーツ。

あるいはいつもびくびくして周りの顔色をうかがっていて、何事もなかったかのように取り繕おうとするパーツ。


他にも何人もの人格(パーツ)が入れ替わり立ち代わり現れ、必要な時に出てくるようなのです。

そして私自身はそれにはほぼ気が付いていないのです。

 

私の場合もみんなその傷ついたインナーチャイルドを守るために、1つのチームとして協力しているようです。

その中の一人は体を張って常に守っていたり、インナーチャイルドが傷つかないように気を配りながら、いつも一緒に遊んであげる役目の子もいました。

☆☆☆ 私達の内的システム


こんな感じでシステムができあがっていました。

これは1つの例ですから、私の中には、ほかにも様々な痛みを持つ別のインナーチャイルド、あるいは傷ついている自分はたくさんいると思います。

あなたの中にも、1つのトラウマや慢性のトラウマで誕生した、傷ついた人格(パーツ)は何人もいるのだと思います。

 

記憶の底に封印してしまったその子が出てきたことに私はとても驚き、セラピーで癒されることで安心しました。

その後、とてもすがすがしい気持ちになったことを覚えています。

 

記憶に蓋をしている傷ついた子以外にも、自覚しているチャイルドやトラウマを持ったパーツたちは何人もいます。

例えば学生時代に日中電車や街中で痴漢にあった時にいやだった私とか、親や誰かに何か言われた時に傷ついた私の部分など。

 

それよりも、もっと苦しくて悲しくて大きなトラウマになってしまうような、映画の主人公たちのような傷を持っている人は、実は今沢山いると思います。その傷を癒す手立てがなかったならば、もしかしたらほかの子が場面場面で別人格として表に出てきて、主人格が知らない自分を演じているという可能性もあります。

そこまでいかなくても、沢山の内的な家族たちが傷ついた子をかばっているのでしょう。

 

ですから、程度の差はあるとしても、私たちはたくさんの人格を私たちの中に抱えていて、状況によって入れ替わり立ち替わり表に出ながら対処している。

そして彼らはみな傷ついた人格を守るために役割を持っている。

 

 

ここまでです。

簡単ですが、内的家族システム療法では、こんなシステムが私たちの中にある、と考えられています。

 

いつも出てくるわけではないけれど、何か辛いことがあると自暴自棄になって、お酒や買い物や性的関係に逃げようとするパーツもいます。

傷ついた部分が危険にさらされそうになると、怒りで自制が効かなくなったり、お酒を飲んで失敗したり、車をぶつけたり、恋愛関係でうまくいかなくなったり、相手を責め立ててしまったり、そんなことは多分日常茶飯時に起きているのでしょう。

彼らパーツは、なんでそんなことをするのか、そこには理由があるはずです。

 

見方を変えて、それは内的な家族システムが働いているからだととらえたら…彼らが守っている傷ついた子を見つけて癒やすことが、人生を穏やかに生きるためのヒントになりそうではないですか?

 

私の場合は、そのインナーチャイルドを守るために頑張ってきた他の人格(パーツたち)が緩んでくれて、あまり極端な役割をする必要が無くなり、私自身もすごく楽になりました。

もっと穏やかに感情を感じて素直に感情を出すことができれば、それだけでインナーチャイルドもほかの人格たちも、みんな楽になると思います。

 

☆☆☆超重要概念 それは セルフ

 

さて、ここでとても大事な概念をお話ししましょう。

わかりやすいように、私たちの本質の人格のようなものを分かりやすく、本人格と表現しましょう。

では、ここで言う本人格とは何を示すのでしょう。


今までお話しした私の体験談を例としてお話しします。


「私」という本人格が必ず居るけれども、毎日の生活では、あまり感情を感じないようにしているビジネスマンのような女性(パーツ)が一緒にいて、朝起きた時から同化して働いています。

私は彼女と同化したまま1日を送り、夜寝る前までそのまま一緒でニ人羽織の状態です。

 

彼女の他にも、やらなければいけないことを後回しにするパーツ。

気に入らないことがあるとイライラするパーツ。

お腹が空いていないのに甘いものを欲しがるパーツ。

いつも何か愚痴を言っているようなパーツや、なんとなく焦っているような気がして落ち着かないパーツ。

気が進まないことをやらなければいけない時に頭が痛くするパーツ。

小さな失敗を苦にして自己嫌悪で頭の中をぐるぐる思考でいっぱいにしてしまうパーツ。

怠惰でスマホをダラダラと何時間も見続けるパーツもいます。

 

そんな姿が沢山自分の中にあると、イメージで捉えてください。

それでは最初の質問に戻りましょう。

 

☆☆☆本人格とは『セルフ』という存在

 

内的家族療法のリチャード・シュワルツ博士は、多くのクライアントとセッションをしながら、ここでいう本人格のようなものを見つけました。

それはセルフ(Self)と名づけられました。

私たちの中には、どんな状態でももれなく核の様な、中心になる人格のようなものがあるといいます。

それがセルフです。


『セルフ』は特性として8つの質を持っています。

それらは思いやり、つながり、自信、興味、勇気、創造性、明晰さ、穏やかさというものです。

 

内的家族システム療法の人間のとらえ方は、『セルフ』の周りを、3種類に分類できるパーツのグループが囲んでいる構成になっています。


主に管理を担当するパーツたち、インナーチャイルドを代表とする傷ついたパーツたち、そして傷を刺激されそうになると極端な行動に走るパーツたちなどで構成され、彼らがチームとして働いています。

 

もしセルフが他のパーツたちをコントロールしながら上手にリーダーシップを取ることができたら、私たちはセルフの8つの質を活用しながら生きていくことができます。

これを『セルフリーダーシップ』と言います。

本来セルフは私たちの本質ですから、沢山のパーツの声を聞いて、調整をしたりするオーケストラの指揮者のような役割をするものです。

 

これが出来たら、なんと穏やかに生きられることでしょう。

私の場合、いつも同化しているビジネスマンのような管理するパーツが、本人格である『セルフ』自体を理解できず、信頼せずにあなどっているような態度でした。

これではセルフはリーダーシップを取ることができません。


内的家族システムは、私たちが抱える問題を病理としてでなく、システムを理解しようとして扱っており急速に発展してきました。

そこでは感情や考えといった、頭の中の、例えば自分を罵る声、かわいそうだと思う声、いやだと思う声や何かをかり立てるような思いなどの沢山の声や思いを、様々な別人格=パーツとして、相手の話を聴く形で癒しを進めています。

そうすることによって、極端な信念や感情、感覚、衝動といったものが少しずつ和らいでいくようになります。

やがてパーツたちの極端な考え方や行動が緩んでいきます。

 

彼らの話を聞くと、パーツたちは本当に私たちのある時苦しみを負った傷ついたパーツを守るために頑張っているのだ、ということが理解できます。

行動だけを見ると、急に怒ったり、何かに依存して生きづらいだけのように思えますが、彼らは排除したい敵ではないのです。

もうそんなに頑張る必要がないということに気がつけば、彼らも緩み、彼らが守っていた苦しみを負ったパーツ(インナーチャイルド等)にアクセスすることができます。

そしてその傷ついている苦しみを負ったパーツも癒すことができるようになります。

 

セルフは、誰もが持っている自分の一番核になるものです。

それは愛と思いやりに溢れています。

セルフという概念を知って、人間という存在の本質や内的なシステム自体を理解すると、エゴとは戦わなくても良いのだ、と思えるとても貴重な情報です。

 

☆☆☆ 私たちの本質(セルフ)は愛と思いやり

 

私たちは皆、源というところから出て、地球の肉体を借りて行動する意識です。

また、それはやがて源へと戻っていくことになります。

私達の究極の目的は、地球で肉体をまといながら霊的成長をして、元の光のスパークル(=愛)そのものとなることだと確信しています。

 

もとに戻っていく通過点になるのが、セルフという状態なのだろう、と密かに想っています。

私達は、エゴから離れて一足飛びに『気づいている意識』に行くのではなく、その手前に必ず好奇心と慈愛に満ちたセルフとして存在するのだと思います。

それはハイヤーセルフに統合される直前の私たちで、現実世界で十分認識できるものです。

 

私達がいつもセルフでいることはなかなか難しいです。

しかし、自分の内側のパーツたちを知り、コミュニケーションをとり、セルフが彼らのリーダーシップを取ることで、私たちはより良く幸せに生きることが出来ます。

 

そのお手伝いをさせていただきたいと思っています。